ミニのミニによるミニの為のアイテム!

この部品は、あるミニのオーナーの情熱により形になった物です。

最初に連絡を頂いたのは、確か2001年の夏ごろだったと思います。
最初は”FRPでボディーを作れないか?”という内容でした。
勿論FRPでボディーは作れるのですが、一体どんなボディーを作り
たいのかその時は分かりませんでした。それから少しして、会社に
来られて詳しい話を聞いた時、始めて何を作りたいのか理解しました。
”FRPでボディーカバーを作りたい”と言う事でした。

詳しく説明をしますと、通常のボディーカバーというのは布製で
ボディーに被せます。雨や風はある程度防げますが、ボディーの
上に被せますので塗装面の砂塵やほこりなどで擦り傷がついて
しまいます。またこの汚れがボディーカバーに付着し悪循環の繰り返
しになってしまいます。塗装面に良いとはいえません。
このオーナーはミニのマークTを所有していて、とても
大事に所有されています。今後も乗りつづけていきます。
”ガレージ保管すれば良いじゃないか”という考えがあります。
勿論、私もそう思いますが、ガレージの有無や、家の諸事情
(場所や、コスト等)などによりガレージ保管したくても出来ない方
の方が多いと思います。
そこでオーナーがひらめいたのがFRPボディーカバーなんです。
ただのカバーでは面白くないので見た目もミニにしたいというのが
この仕事の始まりでした。
(他にも色々なアイデアがたくさん盛り込まれているのですが
話が長くなってしまうので省略させていただきます

オーナーは私のところに来る何年も前から考案してたそうで
あちらこちらと話を持ちかけていたそうです。
構造や予算、サイズ等を色々打ち合わせしイギリスにレース用の
ボディー
が一式あることが分かりそれを使って作るという事になりました。
ただ、そのまま輸送しても輸送費が高いし、どうせこちらでバラバラに
してしまうので現地でカットしていただき、それを組み立てる事に
なりました。オーナーが注文してから数ヶ月、やっと会社に
その部品が来たんです。

これが今回使用したパーツです。
これをカットして、輸送していただきました。
届いた商品がこちらです。
ボンネットとドアは別パーツで
あとのボディーは、一体だった物を
カットしてありました。

ガラス部分がないのでガラス部分
を作る事から始めました。
(通常はガラス部分はアクリル製のもを
使う)

車は、オーナーがあちらこちらに
連絡をしてやっとミニのショップさんの
レストア中の車を借りる事が出来ました。
(その節は御世話になりました)
ガラス部分をマスキングし、FRPを成形して
行きます。
ガラス部分が完成し、これで一通りのパーツが
そろいました。
まずは、屋根の寸法を決定し、そこを起点とし
他の部分を仮止めしていきます。
側面は予め測定した寸法に仮止めしてから
ボディーへ取り付けました。

 

オーナーの車はドアミラー車だったので巾は
ミラーまでの寸法で決定します。
(事前に現車の寸法をチェック)

※ミラー部は他にもいろいろな方法が考え
られましたがオーナーの意志で一体型の
カバーにする事になりました。

後ろも同様に固定、ここは開閉場所になる為
開閉時、屋根などに当たらないように設定
しました。
顔回りを取り付けたところです。
一回りボディーを大きくすると違う車に見えて
しまうので、なるべく顔は実寸に近づけました。
またそうする事でライトやグリルなど、家に眠
っていた部品などを取り付けることも出来ます。
仮止めしたら、隙間に板を貼り付けていきます。
なるべく完成品に近づけれるように形を考えながら
付けていきます。
後ろはこんな感じです。
車がスッポリ中に納まっています。
フロントはなかなかイメージ通りに
いかず、苦労しました。
板の貼り付けが終わりました。
木枠は、建造物みたいですが、FRP
のカバーが歪まない為の補強です。
いよいよ、車をカバーから出します。
チェーンブロックでカバーを吊り上げていきます。
何とか車を出す事が出来ました。
あとは、これを接着します。
中はこんなに広いんです。
まるで気球船みたいでした。
車って空間で考えると凄く大きいという事が
再認識できました。
さあ、いよいよFRPで接着していきます。
中から見るとこんな感じです。
とっても不思議な光景でした。
車をジャッキアップすることは多々ありますが
ボディーを宙吊りにしたのは始めです。

(最初で最後かもしれない?)

段取りを良く考え、FRPを貼り付けていきます。
作業は、何時間も続くものとなりました。
そしてやっと、ボディーの原型が出来ました。
これに仮の車輪を取り付け移動
できるようにします
こうして、ようやくカバーは日の目を見る事が
出来ました。
話をお伺いしてから1年が過ぎていました。
当初は一人で持ち上げれる重量を考えていたの
ですが、つぎはぎで作ったので重くなってしまい、
3人がかりで持ち上げなくてはならず、取っ手
(バー)をつけました。
そして、実際に車が入るか最終確認。
オーナーの車を入れてみます。
3人がかりでしたが無事に車を入れること
が出来ました
ボディーにも干渉はしておらず、サイドは
若干余裕があります
テールも無事に干渉せず収まりました。
前も、大丈夫です。
悩んだミラーも無事にクリヤーしていました

残念ながらこのお仕事はこの状態で終了してしまいました。
予算的なもの、オーナーの仕事の事情その他・・・。
結局、残りの作業はオーナー自身がやる事になったのです。
あくまでもまだ形にしただけでサイズの見直しや、デザインの変更、
開閉方法・・etcまだまだやる事はいっぱいあったのですが・・。
ただ、オーナーは何年かかっても必ずこれを完成させるといって
います。私もこのお仕事が中途半端な状態で手放すような感じに
なってしまい心残りなんです。
これからの作業もとても素人レベルでできる作業ではありません。
しかし、仕方のないことなので、私はできるだけアドバイスをしていこう
と思っています。

私は、オーナーとこれからも連絡をとり最後までこの商品を
見舞っていきたいと思います。
頑張って完成させて下さい!!

 

近況がわかれば更新していきます。