エンジンオイルの規格、粘度(SAE粘度)、主成分について

 

API規格

API(米国石油協会)規格とは,米国石油協会が4サイクルエンジン用のオイルに対して
性能分類する時に使う、現在もっともポピュラーな品質規格の事です。ガソリンエンジン用
には、SE、SF、SG、SH、SJ、SLなどと表示されSと組み合わされるアルファベットがZに
近くなるほど品質が高くなります。現在では、SLが最高級グレードになります。(ZERO−
Wなど)。また、ディーゼル用には、同様にCAからCFまで分類されており、ガソリン・ディーゼ
ル兼用の場合はAPI SL/CFなどと表示されています。この分類はどのような事で分類されて
いるかポイントを絞って説明しますと、以下のような部分が主なポイントです。

○ より低い蒸発性
高温下での、オイルの消費・蒸発を低く抑え、次の交換サイクルまで適量を維持すると
ともに、蒸発による性能劣化を防ぎエンジンをよりよい状態に保ちます。

○ リン含有量の低減
オイルに含まれるリンの含有量を抑え、触媒への影響を低減し、その性能を長く維持し
ます。また、触媒の維持は排ガスの低減に大きく貢献します。

○ 高温下でのオイル酸化の抑制
高温下でのオイルの酸化、またそれによって起こる粘度変化等の性能劣化を抑える
事により、エンジンの状態を良好に保ち、同時にエンジン内をクリーンに維持します。

資料が古いですが参考にして下さい。
(SLはSJより上のグレードになります)

API規格によるギヤオイルの分類

 

 

 

SAE分類

SAE(米国自動車技術者協会)分類とは、オイルの粘りつけ、つまり粘度を分類する時の
表示です。通常は数字が小さいほど柔らかく、大きいほど硬い事を示します。それぞれの粘度
表示には、適応する温度があります。番号が1つしかないもの(例:SAE 30)をシングルグレー
ドと呼びますが、現在は適用外気温度範囲の広いマルチグレード(例:0W−30)が主流になって
います。最初の数字の後にくるWは、WINTERの略で一般的にはエンジン始動時の外気温に対
する粘度特性をあらわしています。この数字が低ければ低いほど、より低温での流動性が良く、
冬場や寒冷時のエンジンの始動性も良くなり、更にオイル抵抗が少ない事から低燃費に貢献しま
す(通常はこちらの考えがメインです)。また後ろにくる数字が大きいほど硬いオイルという事にな
り、より耐熱性に優れた性能を発揮し、密封性も高くなります。高回転を多様するドライブ(主に高
速走行)に適していると言えます。マルチグレードは、その数字の幅が大きいほどワイドレンジに
なり、その性能カバー範囲も広くなります。但し、最近は優れた粘度指数(粘度とはちょっと違い
ます)を持つものがあり、温度変化に的確に反応し、表示以上の発揮する物が多くなってきました。
それぞれの使用目的に合った最適なオイルをお選び下さい。


ギヤオイルの粘度について

これもギヤオイルのSAE規格の表示ですが、エンジンオイルとは違います。エンジンオイルは、
シングルで #30、マルチグレードで 10W−40あたりが相場なので、ギヤオイルの表示を見ると
SAE 75W−90とか75W−140などとなっていてもの凄く硬いイメージ(缶から出ないなど)があると
思いますが、実際は想像するよりもはるかに流動性がいいんです。100℃の粘度で#90クラスのギ
ヤオイルの粘度は、エンジンオイルの#50クラスとほぼ同じです。同じSAE表示でもエンジンオイル
とギヤオイルでは規格が全く違います。表示があまりに高いので「高荷重に耐える為にギヤオイル
は粘度を高くしている」と思われがちですが、それは間違いです。極圧に対する規格はAPI規格の分
類が主な目安です。

 

 

主成分について

原油は、加熱するとガソリンや灯油などが蒸発していき最後に残るのが、重質油というものです。
これをさらに減圧蒸留し、脱パラフィン処理でロウ分を除き、水素ガスを添加して化学的に改質すると
鉱物油のベースオイルが出来ます。一方の化学合成油は、ガソリンの仲間のナフサを分解したエチレ
ンを重合させて作られる。このとき重合する条件を変える事で、さまざまな性質を持つベースオイルを
製造する事が出来ます。こうして出来たベースオイルに各種の添加剤をバランスよく配合した物が合成
油のエンジンオイルになります。性能的に優位なのは、製品の均質性に優れる化学合成油ですが、最
近は、技術の発展で鉱物油も化学合成油に迫る性能を持っています。さらに、化学合成油と鉱物油の
長所を備えた部分合成油というものがあります。また重質ガソリンは自動車用のガソリンに、重質油から
出来たベースオイルはエンジンオイル以外にギヤオイル、ATF、グリスなどに、減圧蒸留されたものから
はさらにアスファルトや石油コークスなどにそれぞれ変わっていきます。